
地球の「見えない力」が、未来のエネルギーを救う
― 宇宙と地表から地下の資源を探る ―
「地下に何があるか、どうやってわかるのか?」
――そんな素朴な疑問から始まった今回のサイエンスカフェは、
気づけば私たちの生活とエネルギーの未来に直結する、壮大な旅でした。
かつて地下資源の探索は「山師の勘」の世界でした。
16世紀のヨーロッパでは、金属の棒で地下水や鉱脈を探す「ダウジング」が頼りにされていたほどです。それが今や、地震波・地下の電気の通りやすさ(比抵抗)を測る電磁探査・人工衛星・AIを組み合わせ、まるでMRIのように地下を「見る」時代に。
しかも、植物が地下の金属ストレスで葉の気孔を閉じるという微妙なサインを、宇宙から読み取って鉱脈を予測できるのです。科学の進化に、思わず目を見張りました。
日本は資源小国――そう思っていませんか?
実は鹿児島県の菱刈鉱山は世界トップクラスの金鉱床で、秋田県の「黒鉱」は「Kuroko」として世界の地質学の教科書に載る日本発の発見です。
さらに日本は世界第3位の地熱ポテンシャルを持ちながら、まだその多くを眠らせたまま。足元に巨大な宝が広がっているのです。
地熱エネルギーで特に印象的だったのは「使ったら戻す」という発想です。発電後の熱水を地下に戻す「還元」を続けることで、30年・50年と資源を維持できる。
さらに、水のない岩盤に人工の割れ目を作って熱を取り出す「EGS(人工地熱系)」という技術は、火山のない地域でも地熱発電を可能にする、次世代のゲームチェンジャーです。
そして「資源は地下だけにあるのではない」という視点も新鮮でした。
私たちが毎日使うスマートフォンの中には、金・銀・レアアースが眠っています。これが「都市鉱山」。
地下から半分、都市鉱山から半分
――そんな循環型の未来像が、すでに描かれていました。
会場には本物の金鉱石が持ち込まれ、放射線測定器がコンクリートの微量な放射線をリアルタイムで示す実演も。
コロナ禍で普及した体温計「なぜ触らないのに体温がわかるのか」という問いが、自分の体が赤外線を発しているという探査技術の話につながる瞬間――科学は、こんなにも身近にあったのかと気づかされました。
講演の締めくくりは、月や小惑星の資源探査でした。地球の地下を読み解く技術が、宇宙へと広がっていく。日本発の「予測工学」が、地球を超えた未来を切り拓く――そんなスケールの大きな話に、会場全体が静かに興奮していたように感じました。
次回のサイエンスカフェも、きっと新しい「驚き」が待っています。
田辺真裕美




